2型糖尿病の治療について
2型糖尿病の治療について
2型糖尿病は、日本人の糖尿病の約9割を占める最も一般的なタイプです。
膵臓から出るインスリンの分泌量が減る、または**インスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性)**ことで血糖値が高くなります。
多くの場合、
食べすぎ
運動不足
ストレス
遺伝的体質
といった生活習慣が関係しています。
早期から治療を始めることで、将来的な合併症(心筋梗塞・脳卒中・腎症(透析)・網膜症(失明)など)を防ぐことができます。
2型糖尿病の治療は「血糖をコントロールし、合併症を防ぐこと」が最大の目的です。
そのために以下の4つの治療を組み合わせます。
食事療法
運動療法
薬物療法(内服薬)
インスリン療法
食事は薬よりも大切と言われるほど、2型糖尿病治療の中心です。
「何を食べるか」だけでなく、「どのように食べるか」もポイントです。
バランスよく:主食(炭水化物)・主菜(たんぱく質)・副菜(野菜)をそろえる
食べる順番:野菜 → たんぱく質 → 炭水化物の順に食べると血糖上昇を抑えやすい
間食・甘い飲み物は控える
食事時間を一定に:毎日同じ時間帯に食べることで血糖が安定
食物繊維が多い野菜・海藻・きのこ
青魚、鶏むね肉、豆腐など良質なたんぱく質
玄米や全粒粉パンなど、血糖が上がりにくい主食
揚げ物や脂質の多い肉類
清涼飲料水・菓子パン・スイーツ
アルコールの飲みすぎ
運動は、筋肉を使って糖をエネルギーとして消費させ、インスリンの効きを改善します。
ウォーキング:1日30分を目安に、週5日以上
自転車・水中歩行:関節への負担が少ない
筋トレ:太もも・腹筋を中心に軽めの負荷で週2〜3回
空腹時の激しい運動は避ける(低血糖のリスク)
血糖値が極端に高いとき(250mg/dL以上)は休む
続けることを最優先に、「少しずつ」始める
食事・運動を行っても血糖コントロールが不十分な場合、経口血糖降下薬を使用します。
2型糖尿病の薬にはさまざまな種類があり、作用の仕方や副作用が異なります。
| 薬の種類 | 主な働き | 特徴・ポイント |
| ビグアナイド系(メトホルミン) | 肝臓で糖が作られるのを抑える | 体重が増えにくく、第一選択薬として使用されることが多い |
| DPP-4阻害薬 | 血糖を上げるホルモンの働きを抑制 | 低血糖が少なく、飲みやすい |
| SGLT2阻害薬 | 尿に糖を排出して血糖を下げる | 体重減少・血圧低下の効果もあり |
| GLP-1受容体作動薬(注射薬あり | 食欲を抑え、インスリン分泌を助ける | 体重減少効果あり、注射タイプも増加中 |
| α-グルコシダーゼ阻害薬 | 炭水化物の吸収を遅らせる | 食後の血糖上昇をゆるやかにする |
| 速効型インスリン分泌促進薬 | 食後の血糖上昇を抑える | 食直前に服用するタイプ |
| SU薬 | 膵臓からインスリン分泌を促進 | 効果が強いが、低血糖に注意 |
同じ糖尿病でも“自分に合う薬”は人によって異なります。
内服薬で十分な効果が得られない場合、または膵臓の働きが低下している場合は、インスリン注射を行います。
2型糖尿病では一時的に使用して、膵臓を休ませる目的で使うこともあります。
基礎インスリン(長時間型):1日1回、血糖を全体的に安定させる
速効型インスリン:食前に打って、食後の血糖上昇を抑える
混合型インスリン:上記2つを組み合わせて使うタイプ
最近はペン型の注射器で簡単に打てるものが多く、痛みもほとんどありません。
また、**持続インスリン投与装置(インスリンポンプ)**を使うケースもあります。
2型糖尿病は完治ではなくコントロールする病気です。
そのため「無理なく続けられる方法」を見つけることが大切です。
定期的に血糖値・HbA1cをチェック
医師・管理栄養士と一緒に生活習慣を調整
ストレスや睡眠不足にも注意
糖尿病は“怖い病気”ではなく、“管理できる病気”です。
適切な治療を続けることで、合併症を防ぎ、健康的な生活を送ることができます。
当院では、2型糖尿病の方に対して
食事・運動の指導
薬の調整
合併症の早期発見・予防
を総合的にサポートしています。
生活習慣の見直しや薬の変更などもお気軽にご相談ください。