カテゴリー:

医療コラム

咳はないのに喉が痛い原因は?受診目安も解説

咳が出ないのに喉だけ痛いのはなぜ?

「喉が痛いけれど、咳は出ない」
「風邪なら咳も出ると思っていたので心配」

このような症状で受診される方は少なくありません。

結論からいうと、咳が出なくても喉に炎症が起こることはあります。

空気の乾燥や口呼吸などによる一時的な刺激から、ウイルス性の咽頭炎、溶連菌性咽頭炎、扁桃炎など、原因はさまざまです。

軽い症状で自然に改善する場合もありますが、強い喉の痛みや発熱、飲み込みにくさを伴う場合には、医療機関を受診した方がよいことがあります。

咳はないのに喉が痛くなる主な原因

1.乾燥や口呼吸

秋から冬にかけて空気が乾燥する時期や、エアコンを長時間使用している環境では、喉の粘膜が乾燥して痛みや違和感が出ることがあります。

また、睡眠中に口呼吸をしている方では、起床時に喉の痛みを感じやすくなります。

朝に症状が強く、水分を取ると比較的楽になる場合には、乾燥や口呼吸が関係している可能性があります。

2.ウイルスによる咽頭炎

いわゆる「風邪」の多くはウイルス感染によるものです。

風邪というと「咳・鼻水・喉の痛み」が同時に出るイメージがありますが、症状の出方には個人差があります。

最初は喉の痛みだけで、後から鼻水や咳、発熱が出てくることもあります。

急性咽頭炎の多くはウイルス性で、抗菌薬が必要ないケースも多いことが厚生労働省の手引きでも示されています。厚生労働省

3.溶連菌性咽頭炎

咳がほとんどなく、

  • 38℃以上の発熱
  • 強い喉の痛み
  • 扁桃に白い付着物がある
  • 首の前側のリンパ節が腫れて痛む

といった症状がみられる場合には、A群溶血性レンサ球菌による咽頭炎、いわゆる「溶連菌感染症」も考えます。

ただし、「咳がない=溶連菌」ではありません。

症状や診察所見だけでは判断できないこともあるため、必要に応じて迅速抗原検査などを行います。厚生労働省の手引きでも、「咳がない」ことは複数ある判断材料の一つとして扱われています。厚生労働省

4.扁桃炎

喉の奥にある扁桃に炎症が起こると、強い喉の痛みや発熱が出ることがあります。

扁桃が赤く大きく腫れたり、白い膿のようなものが付着したりする場合もあります。

症状が強い場合には、細菌感染の有無などを含めて医療機関で確認することが大切です。

5.胃酸の逆流

胃酸が食道から喉の方まで逆流することで、喉の痛みや違和感が出ることもあります。

「朝に喉が痛い」
「胸やけもある」
「食後や横になった後に症状が出やすい」

という場合には、胃食道逆流症などが関係している可能性があります。

喉が痛いときに自宅でできること

症状が軽い場合には、こまめな水分補給や加湿を行い、十分な睡眠を取ることが基本です。

喫煙や飲酒は喉への刺激になることがあるため、症状がある間は控えた方がよいでしょう。

声を長時間出すことも避け、喉を休ませることが大切です。

こんな喉の痛みは早めに受診を

特に注意したいのは、

  • 唾液を飲み込むことも難しい
  • 水分がほとんど取れない
  • 口が開けにくい
  • 呼吸しづらい
  • 喉の痛みが急速に悪化している
  • 高熱が続いている

といった症状です。

まれですが、扁桃周囲膿瘍や急性喉頭蓋炎など、早急な対応が必要となる病気でも強い喉の痛みが出ます。厚生労働省も「開口障害」「唾を飲み込めない」「吸気性喘鳴」などを危険な徴候として挙げています。

まとめ

咳が出なくても、喉が痛くなることは珍しくありません。

乾燥などで自然に改善する場合もありますが、ウイルス性咽頭炎や溶連菌性咽頭炎、扁桃炎などが隠れていることもあります。

「咳がないから風邪ではない」「咳がないから大丈夫」と自己判断せず、痛みが強い場合や発熱を伴う場合、症状が長引く場合には医療機関へ相談しましょう。

参考資料:厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編」